メタボリックシンドローム予防のポイント
メタボリックシンドロームは突然出現した新しい病気ではありません。原因までさかのぼって複数の病気をまとめたと考えましょう。今まで高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などといわれたいた人は、これからはメタボリックシンドロームという一つの病気ですんでしまいます。

そして今までは、病気を予防するための生活習慣の改善方法も病気別に提示されていました。しかし、ウエストサイズが気になる人は、今日からそれを減らすことが第一の目標となります。鍵となるのは運動と食事です。
運動というと誰でも思いつくのはウォーキングです。もちろんそれは重要ですが、意識してウォーキングをしているとき以外はほとんど体を動かさない人も多いと思います。
家事や趣味で体を動かしている時間も広い意味では運動になります。何でもいいのでこまめに体を動かしましょう。また、軽めの筋トレなど筋肉をつけて基礎代謝を増やす運動も有効です。
食生活は健康づくりのために非常に重要ですが、自分がどれくらい食べているかはわかりにくいものです。きちんとした栄養調査には非常に時間が掛かります。
生活習慣病予防のための正統派の栄養指導は、栄養バランスの凹凸を見直していくのが主流ですが、メタボリックシンドロームの場合、まずみるのは凸だけ、すなわち食べ過ぎている部分だけを注目します。
最も簡単なのは周りの人と見比べて食べ過ぎないようにしておくこと、間食と夜食を減らすことです。これだけでも効果が出ると考えられます。
高脂血症の最大要因は「脂肪」です
高脂血症は、油のとりすぎが大きな原因です。しかし、油がすべて悪者というわけではありません。なかには血中コレステロールを下げるはたらきをするものものあります。
料理で使う油や食品に含まれている脂肪などは、脂肪酸で作られています。その脂肪酸は、「不飽和脂肪酸」と「飽和脂肪酸」の2つに大別され、体内でのはたらきも異なります。

不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂に多く含まれています。これはさらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」の2種類に分けられます。
一価不飽和脂肪酸の代表的なものとして、オレイン酸があります。オレイン酸には悪玉のLDLコレステロールを下げ、善玉のHDLコレステロールは下げない作用があり、近年大変注目されています。オレイン酸を多く含むものにはオリーブ油、なたね油があります。
一価不飽和脂肪酸は、酸化されにくく、動脈硬化を促進する過酸化脂質が生じるのを抑えるといった長所があります。
多価不飽和脂肪酸には、リノール酸とα(アルファ)リノレン酸があります。リノール酸は、植物の油脂に含まれています。リノール酸には、LDLコレステロールを減らし、赤血球の流動性を高める働きがあります。ただしとりすぎると善玉のHDLコレステロールも下げてしまうという欠点があります。
αリノレン酸には、イコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などがあり、主に魚介類に多く含まれています。EPAやDHAは、肝臓での中性脂肪の合成を抑え、血液中の中性脂肪を選らす効果があります。
さらに、血小板が凝集するのを抑えるため、血栓をできにくくします。この血栓は心筋梗塞や脳血栓などの原因となるものです。
飽和脂肪酸は、室温では固体の形をとり、ラードやバターなどに多く含まれます。飽和脂肪酸をとりすぎると、肝臓でLDLコレステロールが処理されにくくなり、その結果、血液中のコレステロールを増加させます。
20歳代の発症も珍しくなくなった「痛風」とは?
痛風は、高尿酸血症が原因で起こります。これは、尿酸の血中濃度が異常に高くなる病気です。痛風で関節が痛んだりするのは、関節内滑膜に蓄積された尿酸結晶が各種の原因で滑膜から関節内に脱落して炎症が起こるためです。

痛風と高尿酸血症は、戦後の食生活の欧米化にともなって増えてきました。とくに、低エネルギーの食事から高エネルギーの食事へと変化したことが、主な増加の原因です。飲酒量が増加したことも大きくかかわっています。
そのため、痛風は糖尿病などとともに「ぜいたく病」といわれたこともありましたが、そのような食習慣が一般化した現在では、生活習慣病の一つとみなされています。また、かつては50歳代の発症がふつうでしたが、今日では20歳代の発症も珍しくなくなっています
痛風になると、足などの関節がはれあがり、「風が吹いただけでも痛む」といわれるほどの激痛がやってきます。発症当初から痛みは激烈ですが、1~2週間でいったん収まり、鎮静化します。しかし、放置しておいたのでは治らず、しばらくすると再び激痛の発作が起こるようになります。
再発作を起こしたときには、痛む関節の数が増えていたり、大きな関節が痛むようになることが多く、放置していると慢性化します。慢性化すると、間接が曲げにくくなったり、関節部や軟骨などに結節(こぶ)ができることがあり、腎臓にも障害が起こります。
中性脂肪値を下げるには生活習慣の改善が基本です
血液中に含まれる脂肪は、コレステロールと中性脂肪、遊離脂肪酸、リン脂質に分類されます。また、それを運搬するリポたんぱくにもいくつかのタイプがあります。それらの血液中の脂肪やリポたんぱくの量が多い状態を、「高脂血症」と総称しています。高脂血症のうち、中性脂肪の量が多いケースを「高中性脂肪血症」といいます。

ほとんどの高中性脂肪血症は食べ過ぎや運動不足、飲酒、肥満などが原因で起きているので、それらの是正が数値を適正にするためには欠かせません。生活習慣を改善するだけで、中性脂肪値が下がるケースはよくあります。
まず摂取エネルギーを是正することが基本です。炭水化物や脂肪が多く含まれる食品は高エネルギー食品ですから、その摂取量を適切なレベルに抑えることがポイントになります。
また、飲酒が原因で高中性脂肪血症になった人の場合は、禁酒しただけで1ヶ月もしないうちに数値が下がってきます。これは男性に多い傾向です。
女性に多いのは、お菓子や果物などの甘味の取りすぎです。間食やデザートを我慢するだけで、数値が大幅に改善するケースがよくみられます。
運動で消費できるエネルギーは思ったほど多くありませんが、毎日運動する習慣があると、エネルギーを蓄積しない体に少しずつ変化していきます。ウォーキングなどの強い過ぎない有酸素運動がおすすめです。運動をする時間が取れない人は、できるだけ車やエレベーターを使わずに歩くことからはじめましょう。目標は、1日1万歩です。
ただし、日ごろ運動していない人や、既に血管に障害がある人が急に運動すると、思わぬ事故を招く恐れがありますから、事前に主治医の指導を受けるようにしましょう。
油断禁物?痩せている人も生活習慣病のリスク
4月よりメタボ健診(特定健康診査)がスタートし、メタボまたはその予備軍と診断された人には生活習慣の改善のための保健指導が行われています。ウエストの基準として男性が85センチ、女性が90センチという数値が設けられており、数値がこれ以下の場合、あるいは肥満でないと診断されれば、この指導は行われません。

しかし、太っている人だけが生活習慣病のリスクが高いと考えるのは早計のようです。大阪府立大総合リハビリテーション学部の今木教授(栄養療法学)らのグループが、過去に住民健診を受けた6万人の健診結果を分析したところ、メタボ体型のひとだけでなく、痩せている人も心筋梗塞などの生活習慣病になる危険があることが判明したそうです。
心筋梗塞との関係が指摘されているタンパク質「CRP」と、メタボ健診の診断項目である、肥満度、血圧、血糖、脂質との関係を調べたところ、これらの2項目以上が、メタボの基準を上回っている人の割合は、CRPの高い人では、低い人より1.7倍ほど高いという結果になりました。
そして肥満度についてですが、男性では、「やせ」の人でもCRPが高い傾向が示されており、CRPが高かった人の割合は、適正体重では18.2%なのに対し、肥満が21.9%、やせが27.7%と痩せている人がワーストになっています。自分は太っていないから大丈夫と考えないで、むしろ自覚症状が全くないだけにより注意することが必要かもしれません。
遺伝や加齢、ストレスによる本態性高血圧
高血圧といわれる人の多くは、血圧が高いだけで、ほかの検査を受けても異常が見られません。こうしたタイプの高血圧を「本態性高血圧」といいます。原因ははっきりしていませんが、家系的な体質や、加齢による血管の老化、ストレスなどの環境的要因などが関係していると考えられています。

本態性高血圧には遺伝的要素が強く、家族に高血圧の傾向があると体質を受け継ぎやすいことがわかっています。ただ、家系的遺伝があるとしても、必ず高血圧になるとは限りません。食生活を工夫したりストレスをためないように心がければ、遺伝素因のない人と同じように血圧を適正にコントロールできます。
この高血圧は良性ですが、異常な高値が長期間続くと、心臓や脳、腎臓にも負担がかかってきます。高齢になると、血管が老化して収縮期血圧が上昇してきます。高血圧が引き金となって、脳出血などを起こす例も少なくありません。生活習慣の改善を行っても高い場合は、降圧薬による治療が必要です。


